ABOUT THIS PROJECT

Project summary

プロジェクト概要

ORIGAMI (ORganizatIon of research Group on Advanced deployable Membrane structures for Innovative space science) Projectは,超小型人工衛星を使った「宇宙実証」を一つの開発手段として用い,将来の超小型~大型人工衛星の基盤となりうる先進的な宇宙展開構造物を若手研究者が中心となって創出していく,そのような研究・開発拠点を形成することを目指します.

手が届く「宇宙実証」

©東工大松永研

かつて,宇宙へモノを送るのには多大なコストがかかりました.そうなると,地上で数々の試験をきちんとくぐり抜けた機器だけが衛星に搭載されることになります.展開構造物(ロケットの中では小さく折り畳んでおいて,宇宙で広げて使う構造)はたいてい衛星ミッションの成否に直接関わりますので,先進的な設計を新たに採用することは特に難しいです.何しろ,宇宙の微小重力・真空下で確実に展開することを,重力・大気の影響の強い地上で試験するわけですから,どうしても保守的な設計にならざるを得ません.

2003年,日本の東京工業大学と東京大学が,世界に先駆けて超小型衛星CubeSat(10cm×10cm×10cmサイズ)を成功させたことで,宇宙開発の歴史は大きく変わりました.大学の学生・研究者が自らの手で衛星を作り,本物の宇宙環境で実験ができる時代がやってきたのです.宇宙での実証実験を効果的に技術開発の過程に取り入れることができれば,これまで保守的にならざるを得なかった展開構造物の設計を,もっと簡素に,もっと軽量に,できる可能性があります.

シミュレーション技術との融合

©JAXA

2010年,日本発の革新的な展開構造物の宇宙実証が世界を驚かせました.JAXAが打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSが,14m四方の正方形の薄膜を,スピンの遠心力で展開することに成功したのです.IKAROSは太陽からの「光の圧力」を受けて加速・減速する世界初の惑星間「ソーラーセイル」となりました.厚さ7.5μmのセイルの上に,薄膜太陽電池や液晶デバイスなど,複数の薄い機器を貼り付けていたのですが,これらが宇宙で機能することも確認できました.ORIGAMI Projectのメンバーの多くは,このIKAROSの構造システムの開発に関わっていました.

なぜ,IKAROSはこんなにも革新的な展開構造を,世界に先駆けて実現できたのか? その1つの大きな要因に,開発の過程でシミュレーション技術を積極的に用いたことがあります.「スピンの遠心力で大きな薄膜が宇宙で展開する」挙動を,スーパーコンピュータも使用しながら,シミュレーションで予測したのです.具体的には,多粒子法と幾何学的非線形有限要素法という2種類の方法を用いて,様々な数値解析モデルを作成して計算し,「この設計で大丈夫か」ということを入念に確認しました.

ただ,シミュレーションの怖いところは,コンピュータの計算結果が,本当に宇宙空間で起こる物理現象にどのくらいの正確さで対応しているのか確信が持てない,というところにあります.IKAROS開発チームは,地上でできる様々な要素実験で,自分たちのシミュレーションの正確さを確認しながら進みました.ただ,これらの要素実験も重力の影響を受けてしまいますし,真空槽を用いると大型の実験装置を使うことが難しくなります.もっといろいろな実験データがあれば,もっとシミュレーションの正確さを高めて,もっと攻めた設計ができるのに,と思うこともしばしばでした.

宇宙実証CubeSat初号機 「OrigamiSat-1」

上記のような背景のもと,ORIGAMI Projectのメンバーは,2014年末より1機目の超小型人工衛星(CubeSat)「OrigamiSat-1」の開発を開始しました.先進的な展開構造の実験を,CubeSatというプラットフォームを用いて,実際に宇宙でやってしまおう,というわけです.そうすれば,地上の真空槽内では展開が難しいサイズの構造も,微小重力下で展開することができます.こうした「CubeSatを用いた宇宙での実験」を,さまざまな研究者が自分たちで行えるような拠点を作れば,次々と革新的な展開構造が生まれることにつながるに違いありません.

OrigamiSat-1が目指すのは次の3点です.
  1. シミュレーション技術を駆使した展開構造の設計・検証技術を発展させる実験データを収集すること.
  2. 多様な研究者が今後,宇宙実証実験を行える方法を示すこと(市販の衛星部品を積極的に用いた開発や,アマチュア無線技能の向上).
  3. 将来の超小型衛星から大型衛星にまで応用できる先進的な展開構造のデモンストレーションを行い,実現可能性を見せること.

2017年度の宇宙実証を目指し,進んでいきたいと思います!

このホームページではこの「OrigamiSat-1」の開発をはじめとするORIGAMI Projectの進行状況をリアルタイムにお知らせしていきます.「宇宙に手が届く時代」,最前線のレポートができれば,と思います.

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メンバー

ORIGAMI Projectは,文部科学省の平成26年度宇宙航空科学技術推進委託費・宇宙科学研究拠点形成プログラムの採択課題「革新的宇宙科学を切り拓く先進展開構造の研究・開発拠点形成」として,以下の機関により進められています.

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